「いこま自然交流会」開催報告
2026年1月25日(日)13:30〜16:30、北コミュニティセンターISTAはばたき(生駒市上町)にて、「みんなで話そう!いこま自然交流会 ~高山の里山を未来へつなぐ~」を開催しました。
当協会にとって、一般公開型の交流イベントは今回が初めての試みでしたが、生駒市内外、さらには奈良県外からも、専門家、教育関係者、研究者、市民団体、地域住民、行政関係者など、計41名の方にご参加いただきました。
生駒市高山町の里山、そしてその未来を考える取り組みに対する関心の高さを、あらためて実感する機会となりました。
講演・話題提供
冒頭では、当協会の寒川共同代表より、高山町の歴史や現在の状況、里山が持つ経済的価値・自然的価値について紹介するとともに、「経済か自然か」という二項対立ではない、これからの里山の在り方について問題提起が行われました。
続いて、NACS-J 自然観察指導員奈良連絡会 代表・有山泰代氏からは、人の関わりの中で維持されてきた里山と現在の課題、高山町における具体的な自然観察・保全活動の事例をご紹介いただきました。
また、サシバプロジェクトin大阪 代表・小室巧氏からは、高山町が「東西の生態系の交差点」に位置する地形的特性や、日本有数のため池群、谷津田を含む丘陵地という環境の特徴について解説がありました。あわせて、里山らしい動植物や高山町で確認されている希少な生きもの(ケハダビロウドマイマイ、カワバタモロコ、サシバなど)が共有されました。
*寒川共同代表の発表資料より抜粋
高山第2工区は、環境省が指定する「重要里地里山500」と地続きの緑豊かなエリアであることを踏まえると、今ある価値を活かす方向性で、新たな価値を生み出せないか。
「里山資本主義」、「ネイチャーネガティブ」、「ワイズユーズ」など、これらはいずれも、自然を単なる開発の対象として消費するのではなく、生態系の回復や生物多様性の向上を前提に、地域の経済や暮らしを成り立たせていこうとする考え方です。
今ある価値を正しく捉え、活かしながら未来へ引き継ぐ道筋を描いていくことはできないか、一人ひとりが考えていく―。
参加型交流・グループワーク
後半の交流会では、参加者が4つのグループに分かれ、参加動機や関心分野を含む自己紹介の後、高山や里山について
「今後やってみたいこと」
「気になっていること」
「疑問に思っていること」
をポストイットに書き出し、模造紙上で整理・共有しながら意見交換を行いました。
最後の全体発表では、各グループから、以下のような多様な視点や提案が挙げられました。
里山の価値を科学的に評価し、その活用方法を検討すべき
ため池を含む生態系の継続的な生きもの調査を行いたい
高山町の住民が抱える生活課題の解決なくして、里山保全は成り立たない
獣害対策を喫緊の課題として取り組む必要がある
人と自然の関係性を改めて問い直したい
暮らしに根ざした里山活用を起点にし、その上でイベントなど一時的な関わりを検討すべき
里山の価値を、経済的にも持続可能な形で活かす視点が必要
地権者の意向を丁寧に踏まえなければ、解決策は見いだせない
会を終えて
会場内には多数の生きものの写真や資料を展示し、多くの参加者が足を止め、熱心に見入っている姿が見られました。約3時間にわたるプログラムでしたが、関心や立場の異なる参加者同士が交流し、終始活気のある時間となりました。
ご参加いただいた皆さま、そしてご協力いただいた講師の皆さまに、心より感謝申し上げます。
自然環境保全協会奈良では、今後も地域の持続性や里山の未来をともに考える場を大切にしながら、学びと対話の機会を継続していきたいと考えています。
4グループに分かれ各グループ10名程度で意見交換。様々な年齢層、立場の方が地域の未来への思いを語り合う貴重な時間となりました。
当協会が、2025年1月から約1年かけて観察した記録を掲示。普段目にすることのない豊かな生命に、多くの参加者が立ち止まり、語り合う姿が見られました。
子どもたちが描いた高山の生きものの絵。
そして、今の高山を題材にした絵本「ぼくのもりをまもって」の展示。当協会メンバーの心のこもった絵本、ぜひ一度読んでみてほしい!
参加者アンケートからの意見(一部抜粋)
・地主さんの意見を重視するのは分かるが、もっと市民、近隣の住民の意見も聞いて、里山保全を検討してほしい。
・里山を整備するための市民対象の講座を行い、実働できる人たちを育成してほしい。
・「生駒山は日本最古の里山である」ということをしっかり伝える必要がある。
・様々な専門家の意見を取り入れながら、里山保全の良い先例となるような計画を進めてほしい。
・「里山の荒廃=都市開発」という発想に代わり、高山の価値を活かし、自然と共に利益を生む道を考えるべき。