🕊️里山つれづれ日記
第1回
サシバってどんな鳥?
🕊️里山つれづれ日記
第1回
サシバってどんな鳥?
① 渡りをするタカ
カラスより少し小さなタカの仲間で、日本には繁殖のために、東南アジアや南西諸島、ニューギニアなどから、夏鳥として4月始め頃に渡って来ます。
日本の里山で子育てが終わり、9月から10月になると、南西諸島(日本最大の越冬地である奄美大島など)や、東南アジア、ニューギニアなど越冬地に向かいます。
その時期に見られる、サシバの渡りは、1日数千羽が群れになって鷹柱のように舞い上がることがあり、秋を告げる風物詩として、古来から日本人にも馴染みが深く、『鷹渡る』『鷹柱』という秋の季語にもなっています。
② 人里に暮らすタカ
里地里山の象徴と呼ぶべきタカで、大昔から、人の農業や林業などの営みと共に生きてきました。
春になって日本に渡って来ると、本州以南の低山地や丘陵地などの里山で暮らし始め、繁殖を行います。
特に、谷を縫うように水田が入り組んだ、水田と山林が混在する谷津田(やつだ)や谷戸田(やとだ)環境を好み、水田近くの針葉樹や枝ぶりの良い広葉樹などに巣を作ります。
木の枝や杭、田の畦などに止まって獲物を探し、見付けたら捕まえるという待ち伏せ型の狩りをして、主にカエルやトカゲ、ヘビの他、セミやバッタ、大型のガの幼虫などの昆虫類を好んで捕食しますが、ムカデや小鳥、ネズミなど、あらゆる小動物をエサにして生活します。
夏になって雛が巣立ち、しばらくすると、巣から離れ、山林内での捕食活動に移行するようで、その姿を観察するのは困難になり、秋の渡りまでどう暮らしているのか、未だ詳しく分かっていないそうです。
こうしたサシバの狩りや子育てには、
㋐ 水田、畑、森林、池、小川、低経草地、裸地など、いろんな環境がモザイク状に入り組んだ環境
㋑ 人が適度に自然に関わり、攪乱がおきる環境
㋒ それらがまとまった面積でつながっていることにより、豊かな生態系・生物多様性を備えていること
この三拍子(まさに谷津田環境そのもの)が揃っていなければなりません。
つまり、サシバが暮らすということは、その地が豊かで優れた生態系と生物多様性を備えている証であり、サシバが里地里山の象徴とされる所以でもある訳です。
④ 鳴き声が特徴的なタカ
タカの鳴き声って言われても、一般的には、なかなか馴染みがないと思います。いつも身近にいる訳じゃないですし、いつも鳴いてる訳じゃないですから。インターネットや電子図鑑などで聞いてみても「えっ、こんな鳴き方なの?」なんて思ってしまいます。
少なくとも私はそうでした。
タカ類の鳴き声は総じて、高くて鋭いという印象です。サシバの鳴き声も高いのですが、鳴き方が特徴的で、他のタカや鳥類と聞き間違えることはないと思います。しかも比較的、よく鳴いてくれるように思います。
「ピックイー。」
よく響く、長く伸びる声で、一度聞いたら耳から離れません。個人的な感想ですが、鋭さはなく、愛嬌のある声だと思います。高山で出会ったサシバも「ピックイー、ピックイー。」と盛んに鳴いていました。あれだけ鳴いてるのに、誰も気が付かないのかなぁと思う程でした。
近年、野鳥愛好団体「とりがくKansai」の研究で、このサシバの声にも、状況に応じた使い分けがあり、互いのコミュニケーションや意思伝達のための、言葉としての役割があることが分かってきたそうです。
「ピックイー。」の「イー。」の部分がビブラートしたり、しなかったり。
「ピッ」がなくて「クイー。」だけになったり。
複数の鳴き声、鳴き方があるそうです。
いつか、彼らの鳴き声の意味が分かって、コミュニケーションが出来るようになったら、彼らは何と語りかけてくれるでしょう?
反対に我々は、なんて声をかけてあげたら良いのでしょう?
そのときまで、そんな未来まで、高山にサシバが飛び続けてくれることを、真に心から願います。
(会員Y.K)